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コラム

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不動産賃貸業の事業継承②|相続に対する考え方の相違

  事業継承

相続が争族になってしまう原因の一つに、当事者の「相続に対する考え方が古い」という点があげられます。(耳の痛い方はすみません)
今回は日本の相続制度が改正された時期や、どう変わったのかについて、少し時代をさかのぼってみたいと思います。

現在の被相続人と相続人の世代

現在、相続を迎えられている世代は80代が中心です。
終戦時(1945年)に小さな子どもだった方たちですね。
その数年後に、男女平等を基礎とした日本国憲法が制定され、相続制度も大きく変わりました。
とはいえ、それまでに刷り込まれた価値観や考え方は、昨日今日で簡単に変わるものでもありません。
また、今相続人となられる方は50代、60代あたりの世代。寿命が延びていますから、今の80代の方たちよりここからの人生は確実に長くなるでしょう。その為、経済面の不安もあちこちで聞こえてきています。
時代とともに改良されている制度に自分たちの考え方を合わせることは、若い世代のためにも必要ではないでしょうか。

1948年5月(昭和22年)前までの「家督制度」

家督相続は、「長男がすべての遺産を相続する制度」でした。
長男が、“すべての財産”を相続するという、今では考えられないような制度です。「家」の存続が第一とされ、それに従い長男には圧倒的な権限があった時代と言えます。
生まれた順番、生まれた性別により、相続が決定づけられるという、今の若者が聞くと驚くような制度でした。

1948年5月(昭和22年)以後の相続制度

新制度では、相続人は一人ではなくなった上で相続順位も定められました。

常に相続人になるのが、「配偶者」
第1順位「子ども」
第2順位「親」
第3順位「兄弟姉妹」

相続割合(法定相続分)も定められました。

子どもと配偶者が相続人 → 配偶者が1/2、子どもが1/2
親と配偶者が相続人 → 配偶者が2/3、親が1/3
兄弟姉妹と配偶者が相続人 → 配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4
家督制度とは、全く異なる内容です。

 *1948年5月2日以降にお亡くなりになった場合に、新制度が適用されます。
 *相続後、不動産の名義変更が行われず長らく放置されていた場合などに、旧制度が適用されることが稀にあるようです。

トラブルになりやすいケースのひとつ

年配の被相続人様と、その相続人となる兄弟姉妹のあるご長男様が、この古い相続の考え方をベースにお持ちの場合に、トラブルに発展する印象です。
つまり、“兄弟姉妹間”の争いですね。
法律的な観点ではなく、個人の考え方にかたよった無理な言い分で、相続を進めようとすることで、トラブルになるのです。
法律がどうであれ、家督制度をひきずった主張をする方が少なからず存在するのが現実だと感じます。

そうはいっても、やっぱり〇〇に多く相続したい?

長男とは限らずに、特定の誰かに全部または多くの財産を引き継ぎたいというケースは当然あるかと思います。
そのような場合は尚のこと、生前の準備が重要です。
「遺言状」を準備しておく
「家族信託」契約をしておく
など、家督制度に近い形で相続を行う手段があります。
※ただし、いずれの場合も「遺留分」侵害にならないように、注意は必要です。

まとめ

今回は、相続に対する考え方が、時代により人により違うという観点から、お話をさせていただきました。
前回のコラム「不動産賃貸業の事業継承①|相続、その前に考えてほしいこと」にも記載しましたが、やはり円満な相続のキモは、
自分が元気な生前に、相続人になるご家族たちときちんと話しをし、ご自分の意向や希望、思いを伝えておくことです。
そしてご家族らの希望も反映しながら、安心して相続を迎えてほしいと思います。

※次のコラムでは、相続トラブルの事例をご紹介します。

 

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